こむら返りはどんな病気ですか?
ふくらはぎの筋肉にけいれんが起こることの総称を「こむら返り」と呼びます。一般には「足がつる」とも言います。ここでの“つる”というのは、筋肉が伸縮のバランスを失い、異常な収縮をしたまますぐに元に戻らない状態を指します。
運動時だけでなく、夜中寝ているときなどにも起こります。
ぴくぴくするこむら返りの原因
筋肉は伸びたり縮んだり、伸縮してその役割を果たしています。普段、伸びる力を筋紡錘が、縮む力を腱紡錘が制御していますが、このうち腱紡錘の働きが低下したときに、筋肉が異常な収縮を起こし、痙攣に至ります。
その他、体内のイオンバランス(カルシウム、カリウム、マグネシウム)の乱れ、血行不良も、ちょっとした運動(動き)がきっかけになって筋肉の異常な収縮の原因となることがあります。
寒い冬の方がこむら返りを引き起こしやすいの?
こむら返りは、寒い季節の方が起こりやすいと言われています。これは寒さや冷えによって筋肉の緊張や血管の収縮が発生し、血流が悪くなるからだと考えられます。
なぜ、寝ている時にこむら返り(足がつる)が起きやすいの?
寝ているときにこむら返りになったという経験をお持ちの方もおられるでしょう。
あまり自覚されませんが、睡眠中には多量の汗をかいています。一方で身体はほとんど動かしませんから、心拍数や血流が低下しています。
体内のイオンバランスの乱れ、血流の低下が重なっている状態で、寝返りをうって筋肉が刺激されることで、過剰な筋肉の収縮・けいれんへとつながります。
こむら返り(足がつる)が起きてしまったときの対処方法
- 収縮した筋肉を伸ばします。手をつま先にかけたり、両手で持ったタオルをつま先にかけるなどして、ゆっくりと手前に引き寄せます。
- 痛みが軽減したら、短い距離で結構ですので歩いてください。ここで動かしておくことが、回復を早めるためのポイントです。
- ほぼ通常通りに歩けるようになってからは、優しくマッサージをしたり、温めたりすることで、さらに筋肉をほぐしていきましょう。
こむら返りの治療
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
芍薬甘草湯 | 陰証 | 虚証 | こむら返り、腹痛、腰痛、しゃっくり |
疎経活血湯 | 陽証 | 虚実間 | 筋肉痛、関節痛、腰痛、こむら返り |
※こむら返りでは、証に関係なく漢方薬を用いることができます。
※芍薬甘草湯は甘草が多く含まれるため、偽アルドステロン症という副作用のリスクがあります。そのため、頓服薬として使用することをお勧めします。いっぽう、疎経活血湯は甘草が比較的少ないため、こむら返りの予防薬としても用いることができ、芍薬甘草湯が無効のこむら返りに効くこともあります。
こむら返りを予防しましょう!
こむら返りをよく起こしてしまう方は、以下の方法を試してください。
1足を温める
レッグウォーマーや厚手の靴下、カイロを使ったり、入浴・足湯などで筋肉を温めましょう。
就寝時にこむら返りを起こしやすい方は、寝冷えに注意してください。
2ストレッチ
筋肉の冷えと緊張を防ぎます。
机などに手を突いた状態で、足を前後に開き、後ろ足のふくらはぎの伸びを意識した状態で30秒キープします。これを、交互に2~3回ずつ行います。
仕事の休憩時、就寝前などに行うのがよいでしょう。
3水分・ミネラルの補給
水分、ミネラル(カルシウム・カリウム・マグネシウム)の不足は、こむら返りの原因の1つとなります。
特に、運動やサウナ、飲酒などでたくさん汗をかいたときには、これらをしっかりと補給してください。
寝ているときにこむら返りになりやすい方は、就寝前の補給がおすすめです。