アレルギー性鼻炎・花粉症の漢方治療(成人・小児)
アレルギー性鼻炎とは、ハウスダストや花粉といった特定の物質に対して、本来であれば身体を守るための免疫が過剰に働き、鼻水、鼻詰まり、くしゃみなどの症状をきたすアレルギー疾患です。
なお、ダニやハウスダストを原因とするものを通年性アレルギー性鼻炎、花粉を原因とするものを季節性アレルギー性鼻炎といいます。
原因
ダニ・埃・カビ・ペットの毛などのハウスダスト、スギ・ヒノキ・ヨモギ・イネ・ブタクサなどの花粉が鼻粘膜に付着することで発症します。
また、PM2.5や黄砂でも、同様の症状を起こすことがあります。
症状
鼻水、鼻詰まり、くしゃみの三大症状の他、目のかゆみ、充血、喉の違和感・イガイガ感、咳、耳閉感などの症状が見られることもあります。
漢方治療
当院では、アレルギー性鼻炎に対する積極的な漢方治療を行っております。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
小青竜湯 | 陽証 | 虚証(実証) | 気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、感冒、花粉症 (漢方では、アレルギー性鼻炎の標準処方とされています。特に、やや虚弱な方の、うすい痰やサラサラの鼻水に適しています) |
麻黄附子細辛湯 | 陰証 | 虚証 | アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく、感冒 (手足が冷えやすい方の鼻炎によく用いられます) |
葛根湯加川芎辛夷 | 陽証 | 実証 | 鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎 |
荊芥連翹湯 | 陽証 | 中間証 | 蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、にきび (色黒で手足に汗をかきやすい方の鼻炎によく用いられます) |
辛夷清肺湯 | 陽証 | 中間証 | 鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症 (顔の紅潮のある方の鼻炎によく用いられます) |
便秘の漢方治療
(成人・小児)
長いあいだ便が出ていない、便は出るけれど痛みや出血によって困難を伴う状態を便秘と言います。
排便の頻度には個人差がありますので、「〇日出なかったら便秘」という明確な基準はありませんが、週の排便が3回未満の方、便が出にくいことで困っている方は、一度当院にご相談ください。
便秘の種類・症状
便秘の種類は、大きく以下のように分類されます。タイプによって、便の状態や便秘以外の症状の傾向が異なります。
分類 | 原因 | 症状 |
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弛緩性 | 便を運ぶ大腸の筋肉が緩み(弛緩し)、便秘を起こします。 加齢、食生活の乱れ、運動不足、冷え症などが主な原因となります。 |
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痙攣性 | 自律神経のアンバランスによって、大腸にけいれん性の収縮が起こり、蠕動運動がうまく行われずに便秘になります。 ストレスが大きく関係しているのではないかと言われています。また、過敏性腸症候群も疑われます。 |
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直腸性 | 運ばれてきた便を感知し便意を促す直腸のセンサーがうまく働かず、便が出にくくなります。 日常的に排便を我慢する習慣、下剤の乱用などが、センサーを鈍くする原因と考えられます。 |
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漢方治療
便秘に対して使用する漢方には、以下のようなものがあります。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
大黄甘草湯 | 陽証 | 不問 | 症例を選ばず、便秘に広く用いられます |
桂枝加芍薬大黄湯 | 陰証 | 実証 | お腹の張り、腹痛、便秘、腹痛を伴う便意の繰り返し (お腹の張りと残便感を伴う便秘や便秘型過敏性腸症候群によく用いられます) |
麻子仁丸 | 陰証 | 虚証 | 便の固いご高齢の方の便秘によく用いられます |
潤腸湯 | 陰証 | 虚証 | 手足のほてりやコロコロの便の方によく用いられます。ご高齢の方に適したやさしい下剤です |
大柴胡湯 | 陽証 | 実証 | 慢性便秘、イライラ、不安、肥満症 (脇腹からみぞおちが苦しい便秘によく用いられます) |
桃核承気湯 | 陽証 | 実証 | 月経困難症、月経時のイライラ、腰痛、便秘、痔 (のぼせやすい方の便秘によく用いられます) |
柴胡加竜骨牡蛎湯 | 陽証 | 実証 | 不安、不眠、動悸、便秘、子どもの夜泣き (不安や不眠、動悸のがある方の便秘によく用いられます) |
乙字湯 | 陽証 | 実証~中間症 | いぼ痔、きれ痔、便秘 (便が硬く、便秘のある方によく用いられます) |
※上記漢方薬には、柴胡加竜骨牡蛎湯を除き、いずれも大黄が含まれております。大黄は子宮収縮作用があるため、妊婦さんや妊娠の可能性のある女性はなるべく使用を控えましょう。
便秘予防
- 3食を、できるだけ決まった時間に摂るようにしましょう。
- 決まった時間に便意の有無にかかわらずトイレに行くと、排便習慣が身に付きやすくなります。朝食後がおすすめです。
- 排便をしないといけないと意識し過ぎないようにしましょう。また、特に痔がある場合には、強くいきまないでください。
ほてり・更年期障害の漢方治療
更年期障害とは、閉経を挟んだ10年間(おおよそ45~55歳)の更年期において、主にエストロゲンの分泌が急激に低下することで心身にさまざまな症状をきたすことを指します。圧倒的に女性に多いものの、男性にも起こり得る疾患です。
更年期障害の症状のうちの1つに、ほてりが挙げられます。
原因
女性は、閉経とともにエストロゲンという女性ホルモンの分泌が急激に低下します。それまでさまざまな機能を調整する役割を果たしていたエストロゲンが減ることで、心身の症状を引き起こします。
また、エストロゲンの分泌の低下に伴い、脳は卵巣にエストロゲンの分泌を促すシグナルを出します。そのシグナルが自律神経のバランスを乱すことも、更年期障害の発症や悪化に関与しているものと考えられます。
症状
肩こり、腰痛、疲れやすさ、頭痛、上半身のほてりやのぼせ(ホットフラッシュ)、発汗、不眠、イライラ、肌荒れ、動悸・息切れ、めまい、憂うつなど、さまざまな症状を伴います。
漢方治療
当院では、更年期障害に対する漢方治療を行っております。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
当帰芍薬散 | 陰証 | 虚証 | むくみ、月経困難、更年期障害、手足冷え、めまい、肩こり、腰痛 (冷え、疲れやすさを伴う方によく用いられます) |
桂枝茯苓丸 | 陽証 | やや実証 | 月経困難、更年期障害、不安、イライラ、肩こり、めまい、赤ら顔 (下腹部の痛み、のぼせ、足の冷えを伴う方によく用いられます) |
加味逍遙散 | 陽証 | 虚証 | 冷え症、月経困難、PMS、更年期障害、ホットフラッシュ、不安、イライラ、不眠 (イライラ、のぼせ、疲れやすさを伴う方によく用いられます) |
温経湯 | 陰証 | 虚証 | 月経困難、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ (手足がほてり、唇がかわく方によく用いられます) |
五積散 | 陰証 | 中間症~虚証 | 腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、冷え症、更年期障害 (慢性に経過し、症状の激しくない症状によく用いられます) |
温清飲 | 陽証 | 中間症 | 月経困難、PMS、更年期障害、不安、イライラ、湿疹 (皮膚の乾燥とのぼせを伴う方によく用いられます) |
疲れやすい・虚弱体質の漢方治療(成人・小児)
虚弱体質は病名ではなく、特定の疾患・症状があるものを厳密に指すものでもありません。
一般に、基礎疾患がないにもかかわらず、身体に何らかの慢性的な症状を有する状態を指します。
このような症状にお困りではありませんか?
- すぐ風邪をひく、体調を崩す
- 体力がない、すぐに疲れる
- 激しい運動ができない
- 胃腸が弱くすぐお腹を下す
- 常に疲労感や倦怠感がある、元気がない
- 夏でも身体が冷え厚着をしている
- いつも低血圧
- 食べても太らない、痩せている
- (お子様の場合)身体の成長が遅れている など
原因
何らかの基礎疾患があって、疲れやすさや虚弱体質を来している場合がありますので、まずは原因精査が大切です。
基礎疾患が見つからなければ、もともとの体質、環境要因が重なり合って虚弱体質になるケースがほとんどです。
環境要因としては、食欲不振・消化不良に伴う栄養不足、長時間労働、職場や家庭や学校での精神的ストレス、食習慣の乱れ、睡眠不足、運動不足などが挙げられます。
また、病気や手術などの治療をきっかけとして、虚弱体質へと移行するケースも見られます。
漢方治療
虚弱体質の場合、検査で病的な異常は認められません。
そのため、生活習慣を見直すとともに、漢方治療による体質の改善が重要となります。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
補中益気湯 | 陽証 | 虚証 | 虚弱体質、疲れやすさ、食欲不振、食後の眠気、寝汗 (気力、体力、食欲が落ちた方によく用いられます) |
十全大補湯 | 陰証 | 虚証 | だるさ、食欲不振、顔色不良、乾燥肌、寝汗、口の乾燥 (慢性疾患や手術後で体力の衰えた方によく用いられます) |
人参養栄湯 | 陰証 | 虚証 | 虚弱体質、疲れやすさ、食欲不振、寝汗、手足の冷え (消耗性疾患や手術後で体力の衰えた方によく用いられます) |
黄耆建中湯 | 陰証 | 虚証 | 虚弱体質、寝汗、腹痛、食欲不振、皮膚乾燥、発疹 (身体虚弱、疲れやすい方によく用いられます) |
小建中湯 | 陰証 | 虚証 | 虚弱体質、疲れやすさ、繰り返す腹痛、神経質、夜尿症、夜泣き (虚弱体質、腹痛、血色不良、薄い腹筋のお子様によくもちいられます) |
かぜの漢方治療(成人・小児)
ウイルスの感染によって鼻、喉などに急性炎症が起こり、熱、咳、痰、鼻水、または喉の痛みなどが現れます。
原因
約90%がウイルス、残りの約10%が細菌・マイコプラズマ・クラミジアなどの感染が占めます。
かぜのウイルスは200種類以上にものぼり、またそれぞれに複数の型が存在し、しかもそれが毎年変異していきます。そのため、一度かぜをひいても、その年のうちや翌年以降にも、かぜをひいてしまうということが起こります。
漢方治療
かぜに対しても、漢方治療が有効です。一般のかぜ薬の副作用が心配という方は、お気軽にご相談ください。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
麻黄湯 | 陽証 | 実証 | 感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまり、関節痛、頭痛 (熱があって、汗をかいていない、風邪のひきはじめによく用いられます。特に、寒気、ふしぶしの痛みのある方に適しています) |
葛根湯 | 陽証 | 実証 | 鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み (汗をかいていない、風邪のひきはじめによく用いられます。特に、寒気やうなじのこわばりのある方に適しています) |
桂麻各半湯 | 陽証 | 中間症 | 感冒、咳、咽痛、かゆみ (熱はあるが、汗をかいて寒気の少ない風邪によく用いられます) |
柴胡桂枝湯 | 陽証 | 虚証 | かぜの中期から後期、胃腸炎、微熱、寒気、頭痛、はきけ (こじれた風邪によく用いられます。特に、お腹の痛みのある方に適しています) |
麻黄附子細辛湯 | 陰証 | 虚証 | 感冒、アレルギー性鼻炎、気管支炎、気管支ぜん息、神経痛 (風邪をひいて、全身が冷えてだるい方によく用いられます) |
アトピー性皮膚炎の漢方治療(成人・小児)
日本皮膚科学会のガイドラインでは、炎症を抑える外用薬(ステロイドなど)、抗ヒスタミン薬、スキンケア、悪化因子対策を十分におこなっても効果不十分な場合に、漢方薬の併用を考慮して良いとされております。
治療の中心になる薬ではありませんが、希望のある方は遠慮なくご相談ください。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
十味敗毒湯 | 陽証 | 中間証 | 湿疹、じんましん、皮膚の化膿 (皮膚の発赤や化膿によく用いられます) |
白虎加人参湯 | 陽証 | 実証 | 顔がほてって赤い、喉の渇き、すぐに汗が出る、多尿 (喉の渇きとほてりのある方によく用いられます) |
荊芥連翹湯 | 陽証 | 中間証 | 蓄膿、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび (色黒の方の、鼻や皮膚の化膿によく用いられます) |
消風散 | 陽証 | 不問 | 湿疹、じんましん、あせも (滲出液が多く、皮膚のかゆみが強い方によく用いられます) |
柴胡清肝湯 | 陽証 | 中間証 | 湿疹、神経症、慢性扁桃炎 (かんの強い子どもによく用いられます) |
温清飲 | 陽証 | 中間証 | 湿疹、のぼせ、月経困難、イライラ、不安、更年期障害 (皮膚が乾燥してかゆい方によく用いられます。特に鱗屑の多い方に適しています) |
黄連解毒湯 | 陽証 | 実証 | 皮膚のかゆみ、湿疹、不眠、神経症、胸やけ、めまい、更年期障害 (のぼせて顔がほてり、いらいらする方によく用いられます) |
※陰陽・虚実は、漢方診療の項をご参照ください。
かゆみ・皮膚掻痒症の漢方治療(成人・小児)
皮膚掻痒症とは、強いかゆみを特徴とする、皮膚の病気です。
原因
寒い季節の乾燥した冷たい空気、皮脂の欠乏、発汗の低下などを原因とします。
まれに、肝臓病、腎臓病、糖尿病、甲状腺疾患、白血病、リンパ腫、内臓悪性腫瘍などの基礎疾患が原因のことがあるため、一度は検査しておくことをお勧めします。
また、妊娠や薬の副作用で全身の痒みを来すこともありますので、妊娠の可能性や常用薬があればお知らせください。
漢方治療
日本皮膚科学会のガイドラインでは、基礎疾患があればその治療、ドライスキンがあれば保湿剤などによるスキンケアが優先されております。その他の治療として、抗ヒスタミン薬、鎮痒性外用薬、漢方薬などが同程度の推奨度で、使用を考慮して良いとされております。
皮膚掻痒症に対しては、主に以下のような漢方を処方します。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
黄連解毒湯 | 陽証 | 実証 | 皮膚のかゆみ、湿疹、不眠、神経症、胸やけ、めまい、更年期障害 (のぼせて顔がほてり、いらいらする方によく用いられます) |
牛舎腎気丸 | 陰証 | 虚実間~虚証 | かゆみ、足腰の痛み、しびれ、かすみ目、排尿困難、頻尿、むくみ (疲れやすく、下肢が冷える方で、尿が少ないまたは多い場合によく用いられます。特に、上腹部に比べて下腹部が軟らかい方に適しています) |
八味地黄丸 | 陰証 | 虚実間~虚証 | かゆみ、足腰の痛み、しびれ、かすみ目、排尿困難、夜間頻尿、むくみ (夜間頻尿で、疲れやすく、下肢が冷える方によく用いられます。特に、上腹部に比べて下腹部が軟らかい方に適しています) |
六味丸 | 陰証 | 虚実間~虚証 | かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ (疲れやすくて尿が少ないまたは多い方で、下肢の冷えがない場合によく用いられます) |
当帰飲子 | 陰証 | 虚証 | 皮膚の痒み、慢性湿疹、皮脂欠乏性湿疹 (冷え症の方の皮膚のトラブルによく用いられます) |
にきびの漢方治療(成人・小児)
にきびは、額、頬、口まわり、下顎などに生じる発疹のことを指します。正式には「尋常性ざ瘡」と呼び、皮膚の病気の1つです。
長引かせない、悪化させない、にきび跡を残さないために、ぜひ当院にご相談ください。
原因
毛穴の詰まりと皮脂の過剰な分泌、アクネ菌の増殖によって炎症が引き起こされます。
背景には、思春期の男性ホルモンの増加、生理前などの女性ホルモンのバランスの変化、食生活の乱れがあることが多くなります。
症状
毛穴が皮脂で詰まり(白にきび)、詰まった皮脂が炎症を起こして赤いブツブツとなり(赤にきび)、最後には毛穴の壁が破れ、膿が生じる(黄色にきび)という経過をたどるのが一般的です。
漢方治療
日本皮膚科学会のガイドラインでは、荊芥連翹湯、清上防風湯、または十味敗毒湯が、他の治療で効果不十分な場合などに、選択肢の一つとして推奨されております。漢方薬はにきび治療の第1選択薬ではなく、補助的な治療という位置づけとお考えいただければと思います。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
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荊芥連翹湯 | 陽証 | 中間症 | 蓄膿、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび (色黒の方の、鼻や皮膚の化膿によく用いられます) |
清上防風湯 | 陽証 | 中間症 | にきび、顔や頭の湿疹、あかはな(酒さ) (顔が赤っぽい方のにきびによく用いられます) |
十味敗毒湯 | 陽証 | 中間症 | 湿疹、じんましん、皮膚の化膿 (皮膚の発赤や化膿によく用いられます) |
食欲不振の漢方治療(成人・小児)
食欲不振とは、何らかの原因によって、空腹であるにもかかわらず食欲が湧かない状態を指します。
嫌なことや不安があって食欲が出ないという経験は誰もが一度は経験しているのではないでしょうか。嫌なこと・不安の除去とともに解消される一時的な食欲不振の場合は、ほとんど心配いりません。
一方で、背景に胃腸や肝臓、膵臓、甲状腺、脳などの病気、薬の影響、または精神疾患が隠れている可能性もあります。食欲不振が続く、はっきりとした原因が思い当たらないという場合には、精査・加療が必要となりますので、お早目にご相談ください。
漢方治療
食欲不振に対しては、主に以下のような漢方を使用します。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
---|---|---|---|
六君子湯 | 陰証 | 虚証 | 胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐 (胃腸が弱い、疲れやすい方の食欲不振や消化不良のによく用いられます) |
半夏瀉心湯 | 陽証 | 虚実間 | 下痢、消化不良、胃下垂、二日酔い、げっぷ、胸やけ (みぞおちのつかえた感じがする方、お腹がよく鳴り軟便・下痢の傾向がある方によく用いられます) |
補中益気湯 | 陽証 | 虚証 | 虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、寝汗 (体力虚弱で胃腸の弱い方の疲れやすさ、食欲不振によく用いられます) |
十全大補湯 | 陰証 | 虚証 | 病後の体力低下、疲れやすさ、食欲不振、ねあせ、手足の冷え |
人参養栄湯 | 陰証 | 虚証 | 病後の体力低下、疲れやすさ、食欲不振、ねあせ、手足の冷え |
平胃散 | 陽証 | 中間症 | 消化不良、食欲不振 (胃がもたれて消化不良の傾向ある方に良く用いられます) |
夜泣きの漢方治療
生後3ヵ月~1歳半くらいまでの赤ちゃんが、夜中に目を覚まして激しく泣くことを指します。
抱っこをしたり、おむつを交換してあげれば泣きやむこともありますが、反対に何をしても泣き続けるということもあります。
原因
私たちは通常、眠っているあいだ、ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)を繰り返しています。
赤ちゃんは、この繰り返しのサイクルが未熟であるために、レム睡眠のときに目を覚ましやすいと言われています。このサイクルは、月齢・年齢を重ねるとともに安定化が期待できます。ただ、夜泣きがひどく家族が眠れない、月齢・年齢を重ねてもなかなか治らないというときには、お気軽にご相談ください。
また、以下のような不快感によって起こる夜泣きもあります。その場合はその原因を除去してあげましょう。こちらも、場合によっては医療機関の受診が必要です。
このような不快な感じを赤ちゃんが感じているのかもしれません
- 空腹
- のどの渇き
- おむつの蒸れ
- 暑い・寒い
- 寝具の肌触りが合わない
- 身体が痒い、痛い
- 中耳炎、腹痛 など
治療
夜泣き自体は病気ではありませんので、西洋医学ではあまり治療の対象とはみなされません。
しかし、あまりにも夜泣きが激しいと、ご家族の生活や健康に支障が出ることもあります。
そのような場合には、まずは生活リズムを整える、日中にしっかり遊ばせる、寝る前のテレビを控える、寝室の明るさ・温度・湿度の調整、寝具の見直しなどを試してみましょう。
それでも十分な改善が見られなければ、下記のような漢方薬を検討してみてはいかがでしょうか。お困りの方はぜひご相談ください。
漢方薬 | 陰陽 | 虚実 | 特徴 |
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甘麦大棗湯 | 陽証 | 虚証 | 不安が強いお子様の夜泣きによく用いられます |
抑肝散 | 陽証 | 虚証 | 神経症、不眠症、夜泣き、疳虫、歯ぎしり、更年期障害(疳が強い、イライラしやすいお子様の夜泣きによく用いられます) |
抑肝散加陳皮半夏 | 陽証 | 虚証 | 神経症、不眠症、夜泣き、疳虫 (虚弱体質で疳の強いお子様の夜泣きによく用いられます) |
柴胡加竜骨牡蛎湯 | 陽証 | 実証 | 神経症、小児夜泣き、便秘 (不安の強お子様の夜泣きによく用いられます) |
小建中湯 | 陰証 | 虚証 | 子どもの虚弱体質、疲れやすさ、腹痛、神経質、子どものおねしょ、夜泣き (疲れやすい、よくお腹を痛がる、または血色のすぐれないお子様の夜泣きによく用いられます) |